Tuesday, November 8, 2011

地獄のコンビニ


俺の名は亮太。
ある日の深夜の出来事だった。

深夜にどうしてもコーラが飲みたくなった。

家から一番近いコンビニでも自転車で5分はかかる。
僕はコートを羽織り、自転車に乗っていつものコンビニに向かった。

寒いし時間も掛けたくないのでショートカットすることにした。裏道を進む。

風が強く吹き付ける。今日は空が異様に暗い。なんだか霧がでてきた。霧は次第に濃くなった。

自転車のスピードを緩め慎重に進む。しばらくすると霧は薄くなっていった。
右手にコンビニが見えた。今まで見たことのない、コンビニだ。

自分「あれ、こんな所にコンビニがあったかな」

入ろうか悩んだ。その時冷たく激しい風が吹いた。

『首筋にエアーを強く吹きかける』

迷うのはやめた。寒い!寒すぎる!

コンビニに急いで入る。

全国どこにでもあるチェーンのコンビニとは内装が違った。
奥から声がする。
店員「いらっしゃいま…、あれ、あれれ???」

奥から焦げ茶色の服を着た背の高い男が来た。
「あれー、珍しいですねー、来ちゃいましたかー。まあいいや、ゆっくりして行ってください」

なんだこの店は?
モヤモヤとした気持ちでコーラを取りに行く。レジで精算で店員が喋りかけてくる。

「んーお客さん。今日はお金結構ですわ。というかお金は払っていただかなくていいですわ。」

え?え?何言ってるんだ?
店員をまじまじと見つめる。すると店員は落ち着いた様子で語りかけてくる。

「いやいや怪しいもんじゃないですよ。この店は副業でやってましてね。ほかでもっと稼いでるんですよ。お金目当てじゃないんです。だからね、店にあるもの好きに取って行っていいですよ。ほら人気のカードダス、あの棚にあるでしょ。何パックでも持って行っていいですよ」

棚に眼を向けると大人気のカードダスのパックが山ほど積まれていた。
もう一度店員を見る。店員はニコリと微笑みながら、

「いいんですよ。ほら、取って行ってください。数は限られてますけどね。どうぞどうぞお好きに」

ゴクリと唾を飲み込みカードダスを手に取る。本物のカードだ。レアカードは高値で売れる。
全部いただく。
(レアカードをうればいい儲けになる。)
(いいって言ってるんだからいいんだろ。さっさと帰ろう)

店員と眼を合わさないように下を向いて軽く会釈をしながらレジを通り過ぎる。
その時だった。

店員「!!!!!!!!!!!!!!!お客さん!!!!!!!!!!!!!!!!」
ものすごい大きな声で、鼓膜が破れるかと思った。
『イスが5cm落ちる』
バシッと肩に手がかかる。

「ヒッ!」

と僕は縮み上がる。すぐ後ろに店員がいた。何だこいつ!ヤバイ気がする!
恐る恐る後ろを振り向くとそこにはニコニコした店員が立っていた。

「ごめんなさいね驚かして。ほら、コーラ忘れてますよ。あとこれ、お店の地図ね、お友達にも配ってね!」

それだけのために大声で?

店員「あともう一つね。お客さん次いつ来れます??できれば明日も来て欲しいんだけどね。でもね来るのは必ず夜にしてね。商品はお昼に仕入れてるから」

自分「は、はい…」

店を出て家に帰る。帰り道にまた霧が出てきた。

(何だったんだろうあの店…悪い人ではなさそうだったな)

ぼーっとしながら自転車をこぐ。霧は晴れ、家についた。

ベッドに寝転びカードを開けてみる。中からはレアカードが3枚でてきた。

自分「やった!明日売りに行こう!」



<次の日>
朝学校に行き教室につくと、彼女の玲奈と、玲奈の友人の珠理奈が話しかけてきた。

玲奈「ねえ、知ってる?珠理奈の家の近くのコンビニで昼間に強盗があったんだって」

珠理奈「それも普通の強盗じゃなかったみたいなの。警察の人の話では、お店の中にあった商品が全部根こそぎ無くなってたんだって。それに…」

自分「それに…?」

玲奈「その時お店にいた店員さん…殺されちゃったんだって。監視カメラもあらかじめ壊されてたみたい。本当に怖いわ」


<放課後>
友人や玲奈に昨日のコンビニの事と地図を渡した。皆興味を持ったらしくて今度行ってみると言っていた。

<その日の夕方>
学校の帰り道に昨日のカードを売りに行った。3枚とも高値で売れた。

自分「すごい値段で売れたな!これで欲しかった物が買えるぞ!いやまだお金が足りないな…  もう一度あの店に行ってみるか」

自転車に乗りあの店に向かう。霧が出る。霧が消える。店につく。店員は見えなかった。店に入ると何やら話し声が聞こえた。

???1……..ナラ………...出スゼ!」
???2「ホントウカ.....!................................ジャソレデ....トリヒキ.......セイ...リツ........

カードコーナに行きカードを手にとって帰ろうとしたその時店員に腕を掴まれた。

『イスが5cm落ちる』
店員「オキャクサン!チョットコッチキテネ!!!」
昨日の店員の声とは違う恐ろしい声。
ものすごい力だ。振りほどけない。バックルームに連れて行かれた。

バックルームの中は死臭と言うかおぞましい匂いが立ち込める。
奥には赤く大きな鬼がいた。

赤鬼「オッセーンダヨ!!マタセヤッガッテ!ハラヘッテシカタネエ!!大枚ハタイテカッタンダ!オトナシククワレナ!」

赤鬼の目は血走っている。
なんだこれは。汗が止まらない。膝がガクガクする。後ろにはムカデのようになった店員が立っている。


赤鬼「閻魔ノヤローガ 人間界ニイル人間ヲクウノ禁止シヤガッタオ陰デ グルメノ俺サマハ300年モ人間喰ッテネーンダヨ!!!!! デモココ地獄デハ喰ッテイイコトニナッテルンダ! サア喰ウカ!!!」

店員「ノコノコ現レヤガッテ バカメ!  鬼相手ニ コンビニ開イタガ 人間ガクルトハナ! コンドカラハ人間ウッテクラスゼ!」

『赤鬼が口を開け立体で迫ってくる』
自分「うわあああああああ」



<次の日>
珠理奈&玲奈「今日、亮太休みだね」
友人達「多分風邪かなんかで休んでるんだろう。昨日あいつが言ってたコンビニ行ってみようぜ!そこで見舞いでも買って、その後亮太の家に行ってみよう」




ナレーション「偶然にも人が入ることのできてしまった地獄のコンビニ。次なる餌食は誰になるのだろうか…」
(珠理奈&玲奈&友人たちのバックを背景にしながら)

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